2024年10月、スポーツ庁の「体力・運動能力調査」で30代・40代の女性が運動不足の傾向があるということが、分かりました。特に35~39歳の女性で「運動をしない」と回答した方が4割を超えたとのこと。
この調査は1964年から毎年行われており、202年度は、6~79歳の約5万9000人を対象に実施されました。直近10年との比較では、運動能力は6~19歳男子と40代女性で低下傾向。また、スポーツ実施率の調査では、20~40代の女性で「運動をしない」と回答した割合が高く、特に35~39歳は42.5%ということでした。
運動することはメリットしかない!
運動することは、筋力の低下を防いだり、ダイエット効果など、肉体的に作用する部分に注目されがちですが、運動は脳の活性化やメンタル的な部分にも大きく作用します。
運動をするとドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどの神経伝達物質の分泌が促進されます。また、BDNF(脳由来栄養神経因子)が増えることも分かっています。
ドーパミン
「報酬系ホルモン」とも呼ばれ、快感や多幸感、やる気、集中力、モチベーションなどに作用します。適度に分泌されれば、前向きな気持ちになれたり、やる気や元気を感じることができます。
ドーパミンが不足すると、抑うつ状態や気分が優れない、興味や喜びが失われる、疲労感や倦怠感、不眠や食欲不振、集中力の低下、物事の関心が失われる、運動機能・学習機能・性機能などが低下する等の弊害を引き起こします。
一方、ドーパミンが過剰に分泌され暴走すると、引き起こされるのが依存症です。ギャンブル依存症などがそれに当たります。
セロトニン
「幸せホルモン」と呼ばれ、精神の安定や安心感をもたらします。また直観力の向上など、脳を活発に働かせる働きがあります。具体的には、怒りや焦りなどマイナス感情の抑制、ストレス耐性、ポジテイブな感情になる、快眠を得られる、またアンチエイジング効果を得られるともいいます。一方セロトニンが不足すると、うつ病、不安障害、パニック障害などを引き起こす可能性があります。また、セロトニンは睡眠とも深く係わっているので、睡眠障害の原因にもなります。
ノルアドレナリン
「闘争と逃走のホルモン」と呼ばれ、注意・集中、覚醒、判断、ワーキングメモリ、鎮痛などの脳の働きに関係します。緊急時の行動選択(闘争か逃走か)に適した脳の状態に調整す る役割があります。(心拍数を高め、脳や骨格筋に血液を行き渡らせ、脳と身体を瞬発的に行動が取れるような準備状態に持っていく)
アセチルコリン
認知機能(思考・記憶・学習・注意力・集中力)や作業の効率や創造力・発想力に関わってくる神経伝達物質です。アセチルコリンはアルツハイマー型認知症とも深く係わりがあり、アセチルコリンの減少が原因だと考えられています。
BDNF(brain-derived neurotrophic factor)
脳由来神経栄養因子と呼ばれるタンパク質で、神経細胞の活性化に重要な役割を果たしています。BDNFの働きをいくつか挙げてみると、
・神経細胞の発生、成長、維持、修復の促進
・記憶力や認知機能を向上させる
・学習や記憶、情動等に重要な働きをする
BDNFは「脳の肥料」とも呼ばれ、脳の活性化に大きな役割を持っています。
運動することで、このように様々な神経伝達物質等の分泌が促進されます。
メリットしかないですよね?
では、なぜ、こんなに運動が脳にいい効果を生むのでしょうか?
それは、はるか昔の狩猟時代、人間は、「狩りをする」、「遭遇した危険な生き物と戦う、または逃げる」ために運動が不可欠だったからです。つまり生きるためには運動が必要だったからと、様々な文献で指摘されています。
軽い運動でもOK!続けることが大事!
軽い運動でも脳の働きを活性化させ、記憶力や判断力、集中力などを向上させる効果があります。また、心と身体をリラックスさせ、ストレスを解消し、心の安定を図る効果もあります。ウオーキング、サイクリング、軽めのジョギング、水泳、ヨガ、フラダンスなど軽めのダンス、縄跳びなど、また普段の生活でもエレベーターやエスカレーターではなく階段を使うなどでもいいでしょう。軽い運動を10分ほど行うだけでも、脳で注意力や集中力、判断能力(認知機能)を司る部位が活性化するそうです。
短い時間でも続けることが大事ですね!
運動を習慣づけるコツ
「ダイエットのために明日から走ろう!」「ジムに通って筋トレを始めよう!」という気持ちで運動を始めても、すぐに挫折してしまうという経験はほとんどの方にあると思います。
私の経験でも本当に数多くあります。つい先日も腹回りが気になり始めたので、毎日ウォーキングをしようと始めたのですが、忙しいと理由をつけて、6日でいつの間にか止めてしまいました(笑)ただ、自重筋トレは、10年ほど続いていますので、継続させるポイントはこんな感じかな~ということを伝えてみたいと思います。(但し、パンプアップを目指したり、過剰なダイエットという目的の方向けではないので悪しからず)
私が運動を継続しているポイント
・運動時間をできるだけ短くする
・曜日ごとにトレーニング内容を変える
・YouTubeで楽しみながらトレーニング
・有酸素運動は日常生活で行う
・休養日を設ける
運動時間をできるだけ短くする
まずひとつは、「運動時間をできるだけ短くする」ことです。毎日筋トレを行う時間をつくるには、私の生活でいうと、朝出勤前か、夜仕事終わりかどちらかになります。私の性格上、朝早起きして筋トレは無理です。また出勤前はなんやらかんやらで、とにかくバタバタします。仕事が終わるのも毎日夜7時ぐらいなので、私の最適な時間は夜ということになります。仕事の帰りがけにジムに通うということもひとつの選択としてアリだと思いますが、より長く継続するためには、自宅で自重が一番だと思います。ジムだとどうしても費用対効果を考え、時間をかけがちです。その点、自宅では、いつでも好きなときにトレーニングが行えます。トレーニング時間が3~5分でももったいないと感じることはありません(笑)
因みに、私の1日のトレーニング時間は3~5分ですが、運動を習慣化するという目的、加齢に伴う筋力低下の予防等の目的なら十分だと思います。継続すれば、それなりの効果も見込めます。
曜日ごとにトレーニング内容を変える
私の場合は、大胸筋、腹筋、スクワット、肩、背筋の部位に分けて月~金まで振り分けています。その日の気分でどれをやるかを決めています。ただ5日間の間に偏ることなく、すべての部位をトレーニングすることにしています。それを手帳に記録し、漏れがないようにします。
5種目をやれということではなく、いかにして継続するかが大事です。すべてヨガだけとか、毎日縄跳びなどでも、もちろんOKだと思います。とにかく継続できる方法を考えましょう。
YouTubeで楽しみながらトレーニング
YouTubeでは、ユーチューバーのみなさんが、いろいろなトレーニングを紹介しています。例えば、「5分でめちゃ効く大胸筋トレーニング」とか「痩せるスクワット」、「3分間で腹筋を割る」など、気になるサムネの動画があふれています。その中でいろいろなトレーニングを試していくことで、飽きずにトレーニングを続けられるというメリットがあります。
今日は頑張って負荷を高めにとか、今日は気が乗らないから軽めにできそうな動画など、
使い分けも可能です。
有酸素運動は日常で行う
私が一番続かないのがランニングやウオーキングの有酸素運動です。ここはもう、普段の日常をうまく代用してやっていくしかありません。「エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う」「移動手段を徒歩や自転車に変える」このようなことを、日々行えば、結構な運動になるはずです。
休養日を設ける
毎日できる方はもちろん5分程度なので、やってもらっていいのですが、私の場合は、土曜、日曜日と休養日にしています。少年野球に行くことで、体を動かしているということもありますが、基本休養日にすると決めています。イメージ的には、トレーニングも仕事の延長にしているといったところでしょうか。ですので、祝日や長期休暇のときも行いません。仕事から帰って、夕食後にトレーニングということがルーティン化されて継続しているのだと思います。平日に会社の飲み会などがあったときも、休養日にしています。頑張ってトレーニングをするのではなく、歯磨きのようにトレーニングを行うようになるのが理想ですね!
まとめ
運動することは、メリットしかありません。運動をすることで、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどの神経伝達物質の分泌が促進されます。また、BDNF(脳由来栄養神経因子)が増えることも分かっています。これらが分泌することで、やる気が高まったり、情緒に安定感をもたらしたり、記憶力や認知機能の向上にも繋がります。大切なのは、軽い運動でも継続すること。いろいろなことを試してみて、あなたなりの運動習慣を身に付けてください!