小学生の課題でよく子どもたちが行っていた「音読」。単純に文章を上手に読むため、また語彙力や、読解力を上げることだけが目的だと思っていませんか?もちろん、その能力を上げる効果は高いものがあるでしょう。しかし音読がもたらす効果はそれだけには止まらないのです。今回は音読によるさまざまなメリットを調べてみました。
視覚と聴覚、Wの効果
音読は、声に出して文章を読み、それを自分の耳で聞くことになります。脳の中では、視覚からの情報と聴覚からの情報を処理する経路が異なるので、その両方を働かせることで、より脳が活発に働くということになります。視覚のみの情報である黙読よりも効果があるということが、イメージできるのではないでしょうか。
音読による脳への働き
音読は大脳の70%を活性化させ、高度な精神活動を司る前頭前野や言葉の意味を理解しようと働くウェルニッケ野を刺激。前頭前野が刺激されることによって、考える力や記憶力はもちろん、コミュニケーション力や創造力、感情を抑制する力等も活性化するそうです。
セロトニンの分泌
音読をすることで、脳の前頭前野が活性化されると、セロトニンという神経伝達物質が分泌されます。セロトニンは、「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や安心感をもたらします。また直観力の向上など、脳を活発に働かせる働きがあります。具体的には、怒りや焦りなどマイナス感情の抑制、ストレス耐性、ポジテイブな感情になる、快眠を得られる、またアンチエイジング効果を得られるともいいます。
音読することで、気持ちを落ち着かせる効果が期待できるのですね。
音読は子供のためだけのものではない。大人への効果
現代ではパソコンやスマホなどのITの発達で、キーボードを打って文章をつくる、電話番号を覚えなくてもスマホに登録されていれば簡単に電話がかけられる等、脳をそれほど使わなくても済む便利なツールがいくつもあふれる時代になりました。当然脳も筋肉と同様に使わなければ衰えていくし、使えば鍛えられていきます。前述でもあったように、音読は前頭前野を活性化させます。前頭前野の活性化はアイデアが浮かびやすくなったり、記憶力や空間認知力が増加します。語彙力、コミュニケーション力、発声、表現力、読解力、ストレス解消にもいい効果があるとのことです。
音読を行うことで、仕事や普段の生活にもプラスに働くことが期待できるのではないでしょうか?
音読の効果的なやり方
朝に行う
朝目覚めてから3時間は脳が最も効率よく働く脳のゴールデンタイムだそうです。情報処理力や五感が研ぎ澄まされ、この時間帯の音読が、脳をより活性化させ、その日の学習や仕事の効果を高めることができるでしょう。
毎日行う
10分程度でもいいので、毎日行うことが大切のようです。定期的に違った文章に変えた方がいいということなので、社会人だったら朝刊のコラムなどが良さそうですね。
耳栓をする
集中できないときは、耳栓やヘッドフォンを使って行うといいそうです。骨伝導で体の内側から伝わり、音読の効果は変わらないとのことです。
音読のスピードを速めていく
慣れてきたら、音読のスピードを速めるといいようです。スピードを速めることで、脳も処理速度を速めなければならないため、脳により刺激を与えることができます。特に音読の習慣が無い働き世代には、脳トレとして非常に有効のようです。特に文章のリズムがあり、普段あまり使わない語彙のある夏目漱石の「坊ちゃん」や芥川龍之介の「蜘蛛の糸」などの小説の冒頭部分がおススメだそう。「速音読」は脳を活性化するとして、近年注目されています。
まとめ
このように、音読は脳を活発にする効果があります。また、ストレス耐性など精神を安定させる作用もあります。それ以外にも、コミュニケーション力などの非認知能力にもいい効果を及ぼすことが期待できます。
朝の10分、少し早起きして、またスキマ時間を利用して音読に費やせば、なにかが変わるかもしれません。
思い返せば、旧帝大と呼ばれる難関大学に合格した私の子供も小学生のときに音読をよく行っていました。また、大学受験のときも英語の音読を毎日やっていました。もしかしたら多少は、学習効果にいい影響を与えていたのかもしれません。日々10分程度でできることですから、継続する価値があるのかもしれませんね。